2019.10.08 | takasugim
空き家と相続放棄 相続放棄は万能ではない?
近年、空き家に関する問題が全国で生じています。
当事務所でも、空き家に関する相談を受けることが増えてきたように思います。
不動産が先代名義である場合、相続開始から間もなければ、相続放棄をして、責任を免れることができると思ってらっしゃる方もおられるかもしれません。
相続放棄といえば、当ブログでも取り上げたように、「初めから相続人とならなかったものとみなす。」とあり、家庭裁判所へ申述して行うため、非常に効力が強いものであるという印象が強いと思います。
しかし、この有名な民法第939条の次の条文が恐ろしいんです。
万能だと思っていた相続放棄が、なんと次の条文で万能でなくなってしまいます。
そのまま引用すると、
(相続の放棄をした者による管理)
第九百四十条 相続の放棄をした者は、その放棄によって相続人となった者が相続財産の管理を始めることができるまで、自己の財産におけるのと同一の注意をもって、その財産の管理を継続しなければならない。
とのことです。
これを空き家にあてはめると、相続放棄によって完全に責任を免れないことになります。
所有者がいなくなったものは、最後は国庫に帰属するということもあり、相続放棄により、全く責任がないと思われることがあるかもしれませんが、そんなに甘くないようです。
空き家対策は、早めにしておく必要がありそうですね。
特効薬がないのもつらいところですが、逆に言えば、士業の腕の見せどころなのかもしれませんね。
当事務所でも、できるだけ空き家についてよい方向正をお示しできるよう、知識を研鑽していきたいと思います。