行政書士相談会に行って思ったこと~相続登記って自分でできますよ!~
10月18日に、行政書士会の主催の相談会に、相談員として参加してきました。
相続の相談が多く、数件、相談に応じさせていただきました。
ここで、よく、相続登記を自分でしたい、という相談がありまして、行政書士会の相談会でどう答えるか、という点で、自分の考えを述べさせていただきます。
まず、相談に応じている先生が司法書士資格を有していない場合ですが、まず、非司行為になります。
非司行為か否かは置いておいたとして、無料とは言え、プロとして相談に応じた結果について、責任が取れないと思います。
日々、少ないながら相続登記を受任して申請している者からすれば、本当に奥の深い業務だと思っています。
法務局の職員や法務局の無料相談を利用するという手もあるかもしれませんが、そもそも、我々司法書士・行政書士のように行政機関の発行する文書に触れたり、文書を作成する等、書面に対するリテラシーが高い人って、そうは多くないと思っています。
登記官、法務局の職員等が言っていることを漏らさず理解できるでしょうか。
問題なく理解して登記を行うことは、少数の人を除いて、かなり難しいと思います。
これは、単純な内容の登記申請であってもです。
戸籍の転籍や編纂を追って、いくつもの役所を回ったり、はたまた同じ役所に戻ってきたり、遠方で到底行けない役所に郵送請求するなんてこともあります。
普段こういったことに慣れていない人にとってどれだけ難しいことかと思います。
登録免許税の算出には、手持ちの固定資産納税通知書で計算できれば楽ですが、評価額を算定できない場合もあり、法務局と役所に証明をしてもらう必要があるかもしれませんが、この場合は複数の役所を回って正確に記載を依頼しなければなりません。
共有名義の一方が死亡して相続する場合は、相続人は、住所移転登記をする方が望ましい、ということは、登記を通すために相談に乗っている法務局の職員が教えてくれるでしょうか?
こんなことを考えると、僕は到底、「登記は自分でできます」とは言えないです。
なので、もし仮に司法書士の資格を有している人がこのようなアドバイスをした場合であっても、本当にいいのかな、と思ってしまいます。
当事務所のお客様の中にも、一度、ご自身で挑戦したけれど、やはり依頼することにした、という方も複数おられます。
その中には、金融機関に、抵当権の抹消登記は、自分で簡単にできる、という言葉を信じて、結局中身を見せていただくと、住所移転登記が必要で、なおかつ不動産ごとに所有者が違うという案件で、到底、普段登記になじみのない方が行うことができないものがありました。
もし、こんなことをしてしまったら、自分でできますと言った人は、もう信用は取り返せないと思います。
登記が自分でできること自体を否定はしません。
根気強く挑戦すれば、いつかはできるでしょうし、もしかしたら、思ったより簡単にできる人だっているでしょう。
でも、この言葉が専門家や金融機関等、信用力の高い者から発せられることの意味を、もっとよく考えるべきじゃないかな、と思います。